もっと近くで関われる仕事に
大分県福祉会に入る前は、中学校の特別支援学級で臨時講師をしていました。学校内の様子を見ていると、「家でご飯を食べていないんじゃないか」「いつも服が汚れている」と気になる子どもが数人いました。ただ立場上、家庭まで深く踏み込めない状況だったんです。それをもどかしく思い、もっと近くで子どもと関われる仕事をしたいと転職しました。
児童養護施設 森の木に配属された最初は、児童生活指導員として子どもたちと接していました。「試し行動」と呼ばれる行動をする子、ツンケンしていた子が、根気よく接するうちに、だんだん心を開いてくれて、甘えてくれたり、少しずつでも関係性に変化が見られると、やりがいを感じました。
とはいえ、ずっと順調だったわけではなく、思春期の高校生を担当したときはぶつかることも多くて毎日反省したり、落ち込んだり。バーンアウトのようになって、仕事を辞めようかとまで思い詰めたこともありました。けれどそのときに、周りの職員に「ちょっと休みよ」と助けてもらって、4〜5日休息して回復することができました。
2017年から現在までは、里親支援専門相談員をしています。里親支援事業は、里親家庭を支える仕事が中心です。自宅訪問や電話で話をお聞きしたり、養育の一時的な休息のためのレスパイトケアなどをしています。ほかにも、新規で里親になりたい方の研修に参加したり、ほかの施設の里親支援専門相談員の方々や児童相談所との情報共有などもしたりしています。こうした仕事は、森の木の中では比較的独立した仕事かもしれません。
相手の知識や経験を越えて理解してもらう
児童養護は子どもが相手の仕事でしたが、今の仕事は大人が相手です。大人として、自分なりの考え方が確立されているという意味で、子どもと接する場合と大きく異なります。里親の方は、子育て経験がある人も多いのです。ただ、実子を育てるときとは違う困りごとや悩みが生まれます。そういった時には、子どもへの接し方などをアドバイスさせていただくこともありますが、里親の方の子育ての知識や経験を越えて、理解してもらうのが難しいと感じることもあります。
まずは、里親と話ができる関係を築くことからスタートします。本音で話ができる関係性がないと、悩みを聞き出すことができません。里親にアドバイスやフォローをするためには、話を聞いて現状を把握するのが大事なんです。あとは否定しないことですね。気になることがあっても、まずは受け止め、持ち帰って冷静に考えるようにしています。
支援をしているなかで、あまり起こってほしくないことではありますが、里親の委託を解除するという決断に至ることもあります。人と人ですから、当然、性格の合う・合わないがありますので、ありうることです。ですが、そうなると子どもも里親もともに傷つき、里親は自信を失ってしまいます。里親は公的な養育であるので、登録まで事前研修や家庭訪問、認定のための審議などの、高いハードルがあり、簡単になれるものではありません。受け入れる里親が増えないことには、子どもたちの選択肢が広がらないんですよね。
そこで私たちが、里親となった方、これからなりたいと思っている方に対して、悩みをしっかり吸収して、里親であることを諦めないように寄り添っていくことが重要な役割だと思っています。そのために、先ほども言いましたが、まずは話を聞くことを大切にしています。
子どもたちと過ごす児童養護施設の仕事にも言えることですが、小さな変化や違和感に気付くことが大切だなぁと感じています。もちろん、人の感情を受け止める仕事なので大変ではあるんですが、相手に変化が生まれたときや一緒に何かを乗り越えたこと、大変だった分だけ印象に残る出来事もたくさん生まれていく、やりがいのある仕事だと思います。
日勤
- 8時 出勤
- 9時 引き継ぎ
- 10時 里親宅訪問(随時)
- 12時 昼食、休憩
- 13時 電話連絡
- 14時 里親支援連絡会(第3・第4木曜日)
- 16時 書類作成業務
- 17時 退勤
※記載内容は、2022年7月時点のものです。